木の快適さを科学する5 ヒバ材油によるダニの行動抑制
2013年 9月 2日|
木の香り物質がダニの行動に及ぼす影響を明らかにするため、青森ヒバ材のノコギリ屑を用いて実験した。この材
この材には2%程度の油が含まれている。つまり100gのノコギリ屑の中から2g程度の油が抽出できる。
これが青森ヒバの香りを形づくっている。まず溶媒で抽出して油を含まないノコギリ屑を作製した。そこにヒバ油を
添加し、ヤケヒョウダニの行動と繁殖を観察したわけである。
その結果、本来のヒバ油含有量とほぼ同等の2.0%群では、ダニ数が激減し、2日後には動いているダニ数は
ゼロとなった。また本来の含有量の八分の一程度の精油含量である0.25%群においても25日後には対照に
おけるダニ数の7%に激減した。0.5%群、1.0%群では13日以降動いているダニはほぼゼロとなった。
以上より、ヒバの精油はダニに対して強い効果を持ち、本来、材に含まれている精油の八分の一程度の濃度で
ダニの数の増加を抑制出来ることが明らかとなった。人に対してさまざまな効果を持つことが明らかとなったヒノキ
や台湾ヒノキの材油もダニに対してはほぼ同等の強い活性を示した。
屋内属性ダニと人の至適環境は極めて近似しており、湿度条件に違いがある程度である。人の存在するところ
ダニも存在しており家屋内のダニ数をゼロにする事は不可能である。重要な事はダニの密度を下げ、アレルゲン
との接触が低下する環境を作り出すことである。(森林総合研究所生理活性チーム長 宮崎良文 著「木と森の
快適さを科学する」より)
木の快適さを科学する ダニ編は今回で終了です。次回は五感を介した木材の快適性として香りについて報告
したいと思います。それにしても、私達の一番身近にあり、素材そのものは幼児でも認識できる「木」特に国産
材は加工なしに無垢そのままで使いたい、いや使うべきだと益々思うこの頃です。