500年の家
我が国の木造建築の歴史は古い。法隆寺の例を上げるまでもなく1400年以上になる。社寺建築は人が住むわけではなく特別と考えられるが、しっかりとした補修があってのことである。だが人が住む住居の場合はどうか。
500年以上住み継いでいる家
M邸は大阪府在住の歯科医師の家である。
東京に上京されていた時、林野庁の主催する全国の森の木を使った住宅展示場「ウッディランド」に立寄られた。
青ヒバの家にいた私に民家の寿命は何年かと聞かれる。大阪府河南町の近くに富田林寺内町集落があるが、500年以上住み継いでいる。一度確かめて専門家の眼で検分されてはどうか。と、M氏は家の寿命を延ばす目的でシ口アリ駆除剤や防腐剤を塗った家には住みたくない。青森ヒバのような天然の素材が腐朽菌に強く防虫効果がありヒノキチオールを含有していることはすばらしい。富田林集落の知恵が加われば究極の住まいになる。
柱勝ち工法
私は住まいづくりは建築家として素材(青ヒバ)に拘わりつつ、構造的技術的にも裏付ける必要があると考えた。
地元の大工の匠が提唱する柱勝ち工法に習い3.6mごとに通し柱を立てた。まさにS&I(スケル卜ン&インフィル)構造である。その後阪神淡路大震災に見舞われたが、ビクともせず住み継がれている。