市川総合設計室

建築の仕事は人生と同じ出会いの連続です。

青ヒバのレガシーをつくる。

<青ヒバの会>を立上げて37年目になりました。日本の風土に最も適した住まいは木造であり、しかも素材性能において青森ヒバは卓越している事を発見し、住まいづくりの会として<青ヒバの会>をつくりました。以来300棟を越える住宅を手掛けています。

これまでの住まいづくりとどこが違うか、自ら検証して見ると、戦後の住宅不足を補うため、外国産の木材を大量に使って建て供給した家が、わずか30年で土台が腐り、シロアリに侵食され、建替えるはめに陥っている事が指摘される。また江戸から東京に首都の名称が変わって、増々人口集中が生じているが、木造で住宅や公共施設を建てる事は、火災に弱く、大火の記憶が江戸時代から関東大震災、大戦における大空襲へと、トラウマとなって、人々の心中に潜んでいると思われる。
また、住宅不足を補うために工業化された建材で建てた住宅は、シックハウス対応が求められて健康住宅と無縁な器になってしまった。このような悪夢を断ち切る住まいづくりが、しっかりとした機能性素材である青ヒバによって可能になるのだ。しかし100%国有林から産出する事と天然林であるため市場に出回る事がなく、一般の人々に認知されなかったのである。

これまで、住宅のプロトタイプを模索して見たが、優れた素材性能を生かすためには、型に嵌め込むより、ライフスタイルの自由度を高め、個々の住まい手の創造力を発展させる事が良いとの結論を得た。AIによるビジュアルな人工環境とは逆に香り良く、触感、音の響き、光の屈折による入射光の柔らかさなどリアルな実感があり、抗菌性、防虫効果を生かした使用方法を薦める事を優先した。その意味で以下の作品事例を見ていただくと、新たなる青森ヒバの世界を生み出せた事がわかる。

住み手の五感が喜ぶ住空間。素足踊るフローリングと木目の整った青ヒバの木製建具によって目に優しい自然光が入る。調湿機能のある壁は抗ウイルス性能のある白漆喰塗り。
  • 屋外のデッキ材、内装材に使用できる。
  • 半恒久的にシロアリ対策になる。(土台、柱、大引)
  • 浴室・浴槽の水廻りに使える
  • 時の経過を経て、黄金色になる。
  • 気密住宅の大敵である結露によって発生するカビを抑える。(カビを好むダニの糞がアレルギー反応を起こし、呼吸器官に影響を与えるので、抵抗力の弱い高齢者や幼児には福音だ)
  • 適度な温感素材
  • 無垢材から発する香りの樹精分がストレスレスの空間をつくる。

以上、自然感覚あふれる環境づくりが新たなるレガシーを創って来た。

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